Setsu. 1992-1995

1992年の秋から1995年の暮れまでの、長沢節先生の言葉を中心としたセツ・モード・セミナーの点景集 。 copyright (C) GRINO.

Un mythe de Setsu

さて、アサヒグラフでセツの特集が組まれました。題して「セツ神話」…確かに。巻頭はセツ先生のファッションショー。大原の合評の日に撮影された写真は、午後部の生徒がみんな映っていて、いい思い出になりました。

étude class

4級の本科が終了すると研究科に進級です。

研究科生は自分の望む学科を自分で選択して自由に出席できます。本科のように出席はとりませんからサボルのも自由ですが、本科より余計に出席しても決してモグリ授業とは見なされません。

------------------ 入学案内書より

というのが研究科です。本科も出席をとっていた憶えはありませんが、みなさんあまりデッサンの授業には来なくなってきます。

研究科には「セツ・ゲリラ」という制度(?)があってそちらでタブロー制作をして個展やグループ展などの活動をしたり、チョイス展などの賞に応募したり、持ち込みにはげんだりするようになります。

もう終わるから、あとかたずけだよー


というセツ先生の一言で終了です。

かけてある絵をとりはずして、搬出の支度。えっちらおっちらと、おもちの力で運んで帰ります。

おもちを食べるのははじめてか?


とモデルの外人さんに話しかけるセツ先生。うしろで若い先生がせっせともちをまとめてあんこをからめています。

誰の発案だったのか憶えていませんが、水餃子をつくりました。朝から餃子をせっせと作って、できたのでセツ先生に試食してもらいに。あつあつのを何度か吹いて…それでも口からポロリ、もいちど吹いて…ポロリ。猫舌でした。

ウン、おいしいよー

先生、「A」ですか?

ウン、「A!」

…おいおい。

セツの卒業式では毎回かならず、セツ先生がおもちを作って「からみもち」や「あんころもち」となってふるまわれます。それから大きなフルーツ・ポンチ。卒業証書を全員に渡し終えたところでワインで乾杯。みんなで朝から用意したおつまみをつまみながらロビーや中庭で歓談です。いい天気でした。

Discour

今日はものすごくいい天気で、今年一番の秋晴れだよ。こんな日に卒業式がやれて、君たちはきっとツイてるんだと思います。

とにかくココで君たちは、なんとかかんとか絵を描いて過ごしましたけれども、これは君たちの一生を…かならず、ナンか、一種のね、刺青(いれずみ)みたいに、もう2度と剥がれない刺青みたいになって、君たちの一生を彩ることになるんだよ。

さあ、それがどんなふうな一生になるのか、これから楽しみにして私は、見ています。

全員に、4色刷りで先生のデッサンが印刷されている「卒業証書」が手渡されます。

これは、領収書よ、授業料の。ホントウの卒業はちゃんと絵で通らないとダメよ。だから今回通らなかったヒトは、また出してもイイよー!

Prix actuel courant

卒業制作には「セツ・モード・セミナー賞」と「長沢節賞」がありまして、受賞者2人には「賞品」としてセツ先生の肉筆デッサン「時価15万円」が渡されます。

ふだんは「時価15万円」と仰っている値段が、卒業式当日の朝には「時価20万円」となり、渡す時には「時価35万円」になっていました。