Setsu. 1992-1995

1992年の秋から1995年の暮れまでの、長沢節先生の言葉を中心としたセツ・モード・セミナーの点景集 。 copyright (C) GRINO.

tableau

セツ・モードセミナーでは、絵画(タブロー)とデッサンを“べつもの”として教えていました。

セツで「デッサン」というのは、物の陰影や立体感を表現する、いわゆる「石膏デッサン」のことではなくて線画(ドローイング)による「人物クロッキー」のことを指します。

「石膏デッサン」と「人物クロッキー」は、セツ・モードセミナーの案内書によれば「機械的な目」と「人間の生きた眼」のちがい、というようにまったく別の表現方法なのですが、その両方の「デッサン」はまた、平面芸術である「絵画」とはまったくのべつものである、という教え方でした。

「絵画の基礎はデッサンである」、というのが世間的な常識だと思うのですが、セツでは、絵画は“色の構図”による平面芸術であり、立体表現であるデッサンとは2次元と3次元のちがいがあるので、分けてそれぞれを勉強しなければならない、ということでした。

平面を構成する線で描く「デッサン」というのもあるのですが、その線画で構成された画面に色を塗っていっても、色の違いによって画面のバランスは崩れるので、色のある世界と無い世界の違い、ということでもあります。