Setsu. 1992-1995

1992年の秋から1995年の暮れまでの、長沢節先生の言葉を中心としたセツ・モード・セミナーの点景集 。 copyright (C) GRINO.

professeur

la tête

人間の部品の中では、頭がいちばん重いの。いちばん重いものがいちばん上にあるんだからたいへんなのよ。それをささえるのに、いろんな方向に力でひっぱってバランスをとっているの。

こう、ぐーっと反っているポーズとってごらん。ホラ、きれいな線!コレを描くの!

デッサンは顔だよ。頭部。頭の重さを描くの。顔がうまくキマれば後は自然にキマるから。

オマエは何だ?足から描いているのか?バカみたい!キューッ

人間は頭で立っているんだから、頭がキマれば、デッサンはキマります。

mouvement

同じ50kgでも、人間と銅像とではちがうんだよ。

銅像は“置いて”あるの。人間は50kgなら50kgの体をささえるように“立って“いるの。

ソレを描くのよ。

45kgのモデルが立っている感じと60kgのモデルが立っている感じを描き分けるの。目方を描き分けられるようになったら“立っているデッサン”になったってコトよ。

le croquis qui se tient

attitude de la vie

セツ先生はホントに姿勢がよかった。

セツ先生の姿勢は「吊るされている」という感じ。まさに。

「背筋がピッと」というより、「重心がしっかり落ちている」というより…「ぜったい、吊るされているよ、アレ」といったものでした。「ちょっと目を離したスキに、浮いていた」という証言有り。

軽やかで、しなやかで、軟派で、かっこよくて、かわいくて。でも目はこわかった。

戦時中、軍部にも特高にもにらまれながら、一ミリも引かなかったセツ先生です。ホンモノの不良は80歳になっても不良なのでした。

une fille dessinateur

chercher la ligne

ホラ、ぐるーっと廻って
キレイな線はどこに隠れているかな…

こう、見て。赤ん坊のように、ゆっくり描くんだよ

voir et dessin

super

セツのデッサンは立ったまま描きます。

画板を片手と腹でささえ、モデルさんを正面に据えて、B4の画用紙にデッサンをしていく。

描きはじめる前に、立っているモデルさんのまわりを一周して、いい線を探して裏からはどう見えるかもぜんぶ見ておいてから描く。(のが基本)

10分間とはいえ、立ったまま、生きたモデルと対峙してデッサンをするというのはけっこう肉体労働です。

若者が3〜4枚も描くと集中力も切れて、体力的にもへたりこんだりしていく中、当時80歳前のセツ先生はひとり、描けば描くほど元気になっていくようでした。午前部、午後部、夜間部とあったけど、先生は一日平均8〜15枚は描いていたんじゃないかな。毎日です。やってみればわかります。

40年以上です。

楽しそうでした。

gunzou

attitude

姿勢が悪い人は いいデッサンが描けないよ!

dessin

saison de setsu

地下鉄丸ノ内線・四谷3丁目の駅から 消防署の角を 北に歩いていく 

とちゅうで左に曲がって お墓の裏にはいって階段おりて 白い壁

“ユトリロの壁”

大きなセツの木の下で

これは1992年の秋から1995年の暮れまでの長沢節先生の言葉を中心としたセツ・モードセミナーの点景集です



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