personnalité
個性というか、自己確認(アイデンティティ)といったものが、ほのぼのとでも見え隠れするある時期が若さだとすると、自分の周囲にできるだけたくさんの仲間がいて、それらとのあらゆる交わりの中ではじめて自分というものは対比され、浮かび上がってくるものなのだ。
---------------- 「わたしの水彩」より
entrée
「A!!」評価をもらった絵は提出しておくと、額に入れられて何日かセツ・ロビーに飾られます。セツの建物はロビーが吹き抜けになっていて、みんなそこでコーヒーを飲んだりおしゃべりをしたり寝たりしています。その空間に生徒の絵が並んでいます。
時々、卒業制作展や、OB展のようなものもありました。
セツ先生の絵が20点ほど並んだ時がありました。いつだったかな。窓からさしこむ光が鮮やかだったので、春先だったと思います。空気が変わりました。
その空気は、とてもよくおぼえています。
contraste avec d'autres
まず、生徒たち自身にそれを見物させ、ガヤガヤとお互いに勝手な批評をさせるのである。私がそれらのガヤガヤををすくい上げ、もう少しうまくまとめてやるのがたいへんなのだが、誰もが自分のやってきた作品を基準にして、仲間の作品を見ているわけだから、なにも私がいわなくたって自分流の批評はしているはずである。そして、彼らは自分と仲間たちとがどう違っていて、どうきたなくて、どう美しいかということを正直に感じ取っているのだと思う。そこへ私流の感じ方や考え方を重ねていくのだが、これが絶対の評価ではないことをあらかじめ断っておく。これを四五十人もやると、私はもうヘトヘトになってしまうのだが、はじめの慣れない頃は高熱を出し、その後入院してしまったこともある。
いまでは慣れてもっと楽しんでやれるようになったが、この合評会という授業を発明したことで生徒たちの雰囲気がすっかり変わってしまったのは事実である。
---------------- 「わたしの水彩」より